ナイトスクープ止まりでは終われない

濱島淑恵 著「子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁」(KADOKAWA)
ミラッキ 2026.02.11
誰でも

2026年1月23日放送の

『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)の内容を受け、

SNS上で「ヤングケアラー」が話題にあがりました。

ヤングケアラー

この言葉をはじめて目にしたのはいつですか?

「どんな意味だろう?」と調べたのはいつですか?

「こういう意味の言葉なのか」と知ったのはいつですか?

社会課題として認識したのはいつですか?

はたして、答えられる人はどれほどいるでしょうか?

私の回答は、ざっくりですが「2021年頃」

「ヤングケアラー」という分野の国内第一人者で

大阪歯科大学 医療保健学部教授の

濱島淑恵(はましま・よしえ)さんを

ラジオのゲストにお迎えしたのが2021年11月でした。

詳しく、長く調査している専門家をお招きしなければ

実態がわからないということでお招きしたのを覚えています。

では、国内第一人者であるところの濱島さんが

「ヤングケアラー」という言葉を知ったのはいつなのか。

それは「2010年」とのことでした。

イギリスのリーズという街でケアラー支援を行う民間団体である

「ケアラーズUK」が国際会議を開催。

そのシンポジウムで「ヤングケアラー」という言葉が飛び交い、

議論されていたのを目撃した濱島さんは

「日本だけにいないということがあるはずがない=日本にもいるということだろうか?」

と思いながら帰国し、家族介護者のインタビューをしたところ、

ヤングケアラーたちの姿が見え隠れしたとのこと。

「ケア」という言葉が「身体的な介護」よりももっと広い意味を指すため

・認知症の祖父母を親とともに介護する子

・精神疾患の母親の代わりに舵や年下のきょうだいの世話をする子

・アルコール依存の父親を感情的にサポートする子

・障害を有するきょうだいのケアをする子

このようにケアの詳細は異なるが、学校生活への影響、友人関係の希薄化・悪化、

孤立・孤独、健康への影響など、共通点は多い。

そして「発見」ではなく、「見え隠れ」と濱島さんが表現したのは

ヤングケアラーたちの多くは、他の過程と比べることもできず、
手伝い感覚でケアをはじめ、それが当然という生活をしている。
そのため、自分が置かれている状況を客観的に把握することが難しく、
「ケアを担っている」という自覚を持っていないことも珍しくない。

調査に対し「自分は該当しない」と回答し、集計にも含まれないと推測されるため、「今、どれくらいいるのか」という回答は難しい状況だ。

このような状況を受けてのことだ。

濱島さんによると、15年前、すでに「ヤングケアラー」問題に取り組んでいたイギリスでは

「ヤングケアラーの発見支援の仕組み」というのがきちんと法制化され、

仕組みとして存在しているという。

また、ヤングケアラーたちが社会的に認識されて、そして彼らの声を発信する場もあり、

政策にも反映されている。

そして「一時的にケアから離れるサービス」など、支援メニューも充実している。

ケアから離れてちょっと休むことができ、カヌー体験をはじめ、

子どもらしい時間を過ごすことができるサービスが整えられているとのこと。

これからわかるのは、ヤングケアラー問題は

『探偵!ナイトスクープ』というテレビ番組が「1日だけ担う」ものではないし、

「見世物(エンタメ)にする」べきではない、ということ。

はたして今回のことが「ナイトスクープ止まり」で終わってしまうのか。

イギリスのように「ヤングケアラーの発見支援の仕組み」

「支援メニューの充実」まで社会が、政府が動けるのか。

年末に「そういえばそんなこともあったねえ」ではなく

「年始にアレがあって、ここまで動いたぞ」となることを祈ります。

まずは濱島さんの本

「子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁」(KADOKAWA)で

歴史と現状をとらえてもらえると幸いです。

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