ナイトスクープ止まりでは終われない
2026年1月23日放送の
『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)の内容を受け、
SNS上で「ヤングケアラー」が話題にあがりました。
ヤングケアラー
この言葉をはじめて目にしたのはいつですか?
「どんな意味だろう?」と調べたのはいつですか?
「こういう意味の言葉なのか」と知ったのはいつですか?
社会課題として認識したのはいつですか?
はたして、答えられる人はどれほどいるでしょうか?
私の回答は、ざっくりですが「2021年頃」
「ヤングケアラー」という分野の国内第一人者で
大阪歯科大学 医療保健学部教授の
濱島淑恵(はましま・よしえ)さんを
ラジオのゲストにお迎えしたのが2021年11月でした。
詳しく、長く調査している専門家をお招きしなければ
実態がわからないということでお招きしたのを覚えています。
では、国内第一人者であるところの濱島さんが
「ヤングケアラー」という言葉を知ったのはいつなのか。
それは「2010年」とのことでした。
イギリスのリーズという街でケアラー支援を行う民間団体である
「ケアラーズUK」が国際会議を開催。
そのシンポジウムで「ヤングケアラー」という言葉が飛び交い、
議論されていたのを目撃した濱島さんは
「日本だけにいないということがあるはずがない=日本にもいるということだろうか?」
と思いながら帰国し、家族介護者のインタビューをしたところ、
ヤングケアラーたちの姿が見え隠れしたとのこと。
「ケア」という言葉が「身体的な介護」よりももっと広い意味を指すため
・認知症の祖父母を親とともに介護する子
・精神疾患の母親の代わりに舵や年下のきょうだいの世話をする子
・アルコール依存の父親を感情的にサポートする子
・障害を有するきょうだいのケアをする子
このようにケアの詳細は異なるが、学校生活への影響、友人関係の希薄化・悪化、
孤立・孤独、健康への影響など、共通点は多い。
そして「発見」ではなく、「見え隠れ」と濱島さんが表現したのは
ヤングケアラーたちの多くは、他の過程と比べることもできず、
手伝い感覚でケアをはじめ、それが当然という生活をしている。
そのため、自分が置かれている状況を客観的に把握することが難しく、
「ケアを担っている」という自覚を持っていないことも珍しくない。
調査に対し「自分は該当しない」と回答し、集計にも含まれないと推測されるため、「今、どれくらいいるのか」という回答は難しい状況だ。
このような状況を受けてのことだ。
濱島さんによると、15年前、すでに「ヤングケアラー」問題に取り組んでいたイギリスでは
「ヤングケアラーの発見支援の仕組み」というのがきちんと法制化され、
仕組みとして存在しているという。
また、ヤングケアラーたちが社会的に認識されて、そして彼らの声を発信する場もあり、
政策にも反映されている。
そして「一時的にケアから離れるサービス」など、支援メニューも充実している。
ケアから離れてちょっと休むことができ、カヌー体験をはじめ、
子どもらしい時間を過ごすことができるサービスが整えられているとのこと。
これからわかるのは、ヤングケアラー問題は
『探偵!ナイトスクープ』というテレビ番組が「1日だけ担う」ものではないし、
「見世物(エンタメ)にする」べきではない、ということ。
はたして今回のことが「ナイトスクープ止まり」で終わってしまうのか。
イギリスのように「ヤングケアラーの発見支援の仕組み」
「支援メニューの充実」まで社会が、政府が動けるのか。
年末に「そういえばそんなこともあったねえ」ではなく
「年始にアレがあって、ここまで動いたぞ」となることを祈ります。
まずは濱島さんの本
「子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁」(KADOKAWA)で
歴史と現状をとらえてもらえると幸いです。
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