1996年から何が変わったのか?

菅野朋子 著『韓国エンタメはなぜ世界で成功したのか』(文藝春秋)
ミラッキ 2026.02.16
誰でも

4年前(2022年1月)に発売された本。

著者は、韓国に長く在住し、

禁じられながらも日本のコンテンツを愛する韓国の若者たちを

取材した本『好きになってはいけない国』を上梓したジャーナリスト

菅野朋子さん。

韓国のエンタメ界の変化は

「社会の変化」によって引き起こされたことがわかった。

まず、1980年代末の韓国の民主化による「表現の自由」の獲得

・90年代にもサングラス、金髪の禁止などの自主規制が存在していた

・1996年にサッカーワールドカップ日韓共同開催が決定した時は

 「先進国・日本と共催できることになった」と報じていた

・一気に乗り越えていったのではなく

 「民主化運動の成功→経済の発展→保守的な規制」をひとつひとつ乗り越えた

 

次に、1997年のIMFショックによる韓国の産業構造の転換

・中堅財閥「韓宝鉄鋼」が破綻したことから経済危機がはじまり、通貨危機に。

・IMFが介入し「財政の再建や企業のリストラ、資本や貿易の自由化」など

 韓国経済の改革を求めた→企業再編が行われる

・エンタメ産業へ“外に出ることだけが生き残る道”

 という切迫した危機意識を呼び起こしたのがこの「経済危機」

 

そして「世界のデジタル社会化」

・経済危機は、国そのものに「IT大国化」をもたらした

・ブロードバンド普及率は2000年には人口100人当たりでOECD中1位、

 2004年には2倍以上の普及率となった。

武器、よろい、盾、かぶとを順番にそろえていくように表現の自由を手に入れ、

「経済危機」を動機にしてIT化と国際化を進める。

「エンタメが、内需でどうにかなる(なってきた)国・日本」では

「経済危機」だけではIT化と国際化は進められなかった。

サッカーワールドカップ日韓共同開催が決定から今年で30年。

韓国の30年は前進、躍進甚だしいため、歴史を紡ぐことができる。

その点、日本はどうだろうか。

80年代から90年代の頭までは

トレンドが2~3年の間に移り変わった。

「スター」と呼ばれる人が最前線で継続して活躍できるのも、

長くて7~8年だった。

日本もまた、97年末に金融危機が起きた(拓銀、山一の破綻など)。

それ以降、トレンドの移り変わりはゆるやかになり、

「一度売れたものを、どれだけ新しい角度をつけて売り続けられるか」

という時代に入った印象がある。

2010年以降はYouTube、SNSという「新しい場所」から

スター、トレンドが生まれ、年単位で移り変わっている。

「壮年以上の人(デジタルネイティブ以前の世代)が

 認知していない人やグループが紅白歌合戦に出て

 武道館・ドームを埋めている」という状況は、

いまだに周回遅れではあるが「20年遅れが15年遅れに」

「15年遅れが10年遅れに」、

2020年代に入って「10年遅れが5年遅れ」程度までなった、

ということだと思う。

4年前の本ではあるが、今こそ読んで、

2026年のエンタメを眺めてみると、

当時は気づけなかった発見があるかもしれない。

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